2009年7月21日号(G8サミット結果概要、IMF対日4 条協議、世銀プロ、他)

2009年7月21日発行
                                 http://www.devforum.jp/
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    ワシントンDC開発フォーラム・情報サービス

          −(dev-info)−

    皆様の同僚・知人への転送大歓迎いたします。
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【1】  開発フォーラム新着情報チェック:
   「平成21年度「平和構築人材育成事業」」
   「G8サミット結果概要」
  「IMF対日4条協議」

【2】   国連フォーラム
「国連職員NOW!」
UNDP東ティモール事務所 大井綾子さん

【3】   パリDAC通信:第99回
途上国が貿易自由化の恩恵を受けるために〜
2009年「エイド・フォー・トレード」報告書の公表

【4】  FASID 国際開発研究センター最新情報:          
    「Journal Express;破綻国家ソマリアの援助監査にPwC、他」
    「平成21年度ODA評価ワークショップの募集が開始しました!」

【5】  「世銀プロ」ウェブ更新
    スタッフ・インタビュー:IFC加納 裕二さん、他

[編集後記]    「NGOと雇用市場の柔軟性」

今回は中田 亮輔さんの担当です。

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【1】 開発フォーラム新着情報チェック
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┌――┐Dev−Info 新着情報チェックでは掲載情報を
|\/│募集しています。情報掲載を希望する場合は、
└――┘ info@devforum.jpまでご連絡ください。

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-日本関連-
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● 8月5日、東京にて、外務省による平成21年度「平和構築人材育成事業」(外務省委託事業)の説明会が開催されます。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/peace_b/h21_itaku_0805.html

● 「水と衛生に関するより協力なG8・アフリカ・パートナーシップ」の仮訳が発表されています。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/summit/italy09/pdfs/africa_fo.pdf

● G8暫定説明責任報告書の仮訳が発表されています。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/summit/italy09/pdfs/sekininhou_k.pdf

● G8共同宣言(気候変動、開発・アフリカ)の主要なポイントが発表されています。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/summit/italy09/ss_kk.html

● G8+5によるグローバル・アジェンダの推進共同宣言の主要なポイントが発表されています。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/summit/italy09/kyoudou_h.html

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-マルチ・ドナー関連-
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● 世銀より、ロバート・マクナマラ氏逝去に際しての声明がだされています。
http://go.worldbank.org/R5YRQP6910

● IMFが、$250 Billionを世界経済に投入する予定です。
http://www.imf.org/external/pubs/ft/survey/so/2009/POL072009A.htm

● IMFによる対日4条協議の結果が発表されています。
http://www.imf.org/external/pubs/cat/longres.cfm?sk=23099.0

● IMFから、日本の主な経済金融状況についての報告がされています。
http://www.imf.org/external/pubs/cat/longres.cfm?sk=23100.0

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-国連・関連-
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● 国連プレスリリースよりUN expert on trafficking in persons ends visit to Japanが発表されています。
http://unic.or.jp/unic/press_release/1211

● 潘基文国連事務総長が、訪問中のアイルランドにて、国連の平和維持活動への貢献についてスピーチしました。
http://www.un.org/apps/news/story.asp?NewsID=31383&Cr=Secretary-general&Cr1=peacekeeping

● アラブ諸国の開発の遅れ、人間の安全保障の欠如によるものが大きいことが、国連による報告書で提議されました。
http://www.un.org/apps/news/story.asp?NewsID=31535&Cr=arab&Cr1=development

● 潘基文国連事務総長が、ジェノサイド、戦争犯罪、民族浄化、そのほかの深刻な犯罪問題に対しての国際的な責任と対策についてスピーチを行いました。
http://www.un.org/apps/news/story.asp?NewsID=31533&Cr=protection+of+civilians&Cr1=

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-シンクタンク関連-
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● 米国の開発系シンクタンク、Center for Global Development (CGD)のブログにてWill Barack Obama Call the World Bank for Advice About Fixing the U.S. Health System?no
のテーマで問題提起がなされています。
http://blogs.cgdev.org/globalhealth/2009/07/will-barack-obama-call-the-world-bank-for-advice-about-fixing-the-us-health-system.php

● 同じくCGDよりエッセーDevelopment Aid and Its Criticisms: The View from Zambiaが発表されています。
http://www.cgdev.org/content/publications/detail/1422445/

● 英国の開発系シンクタンクOverseas Development Institute (ODI)から、英国国際開発省(DFID)の2009年白書についての記事が発表されています。
http://www.odi.org.uk/odi-on/details.asp?id=1894&title=uk-department-international-development-dfid-2009-white-paper

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【2】  国連フォーラム
「国連職員NOW!」
UNDP東ティモール事務所 大井綾子さん
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●国連職員の方々の生の姿をインタビュー形式で
お伝えする「国連職員NOW!」第108回では、
国連開発計画(UNDP)東ティモール事務所で
国内避難民の帰還支援や災害対策に取り組む
大井綾子さんにお話を伺いました。テレビ局の記者から
国連職員へと転向された大井さん。「平和構築分野の
人材育成のためのパイロット事業」第一期生でもあり、
これから平和構築に携わろうとする人にも
参考となるようなキャリアパスについても伺いました。
http://unforum.org/unstaff/108.html

(国連フォーラム担当:大槻佑子)
http://unforum.org/index.html

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【3】   パリDAC通信:第99回
途上国が貿易自由化の恩恵を受けるために〜
2009年「エイド・フォー・トレード」報告書の公表
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WTOとOECDから発表された2009年の「エイド・フォー・トレード」報告書に
関するお話です。

http://www.devforum.jp/paris/
http://www.devforum.jp/paris/backnumber/099.pdf

(パリ通信:吉田 徹)

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【4】  FASID 国際開発研究センター最新情報:
    「Journal Express;破綻国家ソマリアの援助監査にPwC、他」
    「平成21年度ODA評価ワークショップの募集が開始しました!」
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●Journal Express最近号のご紹介
Journal Expressは、最新の海外主要ニュースメディア・シンクタンク・雑誌情
報などを抜粋・編集した週刊国際開発情報誌(和要約付)で、毎週水曜にDAKIS
(開発援助情報システム)サイトに掲載するサービスです。
今回は、最近2号分の主な見出しとURLを新しい順にご紹介します。

○JX 4:9 (09.7.15) http://dakis.fasid.or.jp/report/jxpdf/jx4-9.pdf
破綻国家ソマリアの援助監査にPwC/AUサミットで「アフリカ合衆国」構想合意
/北朝鮮、WFP食糧援助の縮小要請/NGO:気候変動の貧困削減への影響/出版:
英国の最新「開発白書」/焦点:UN潘事務総長の評/会議:2009年G8サミット/
ポス「京議」最新:主要経済国フォーラムでの交渉失敗

○JX 4:8 (09.7.8) http://dakis.fasid.or.jp/report/jxpdf/jx4-8.pdf
世銀の「エコ2都市」プログラム/貧困層にモバイル・バンキング/金融危機で
破綻する国の救済/アフリカ開銀、ハゲタカファンドに法的対策/社会的危機に
直面するアジア/世銀の2009年度融資額588億ドル/焦点:保健向け開発援助
(DAH)/ポス「京議」最新:気候変動適応策を開発協力に(OECD)

★★★ 平成21年度ODA評価ワークショップの募集が開始しました!★★★
本年度の評価ワークショップの前期コースとして、ODA評価に携わる方を対象に、
より汎用性の高い評価手法・アプローチを学ぶための4コースを開催いたします。
みなさまの積極的な参加をお待ちしております!

【コース予定】www.fasid.or.jp/kenshu/hyoka/index.html をご覧ください
【場所】国際開発高等教育機構(九段下)(http://www.fasid.or.jp/map.html
【応募締切】平成21年7月31日(金)17:00(必着)
【問い合せ】TEL: 03-5226-0305/0306(林、十倉)Email:evaluators21@fasid.or.jp

(FASID国際開発研究センター担当:中野明彦)
http://www.fasid.or.jp

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【5】  「世銀プロ」ウェブ更新
    スタッフ・インタビュー:IFC加納 裕二さん、他
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●世銀スタッフの横顔シリーズ
国際金融公社 インフラストラクチャー局
加納 裕二(インベストメントオフィサー)さん

生まれも育ちも富山の高岡なんです。初めてアメリカに憧れを抱いたのは、
高校生のとき。当時夢中になったバスケがきっかけでしたね。大学の最初の
2年間はアルバイトでお金をためて、インディアナのほうに1年間留学したんです。
1・2年生の時は授業は出なかったし、成績も悪かったけど、アルバイトと英語だけ
はしっかりやっていました。
http://www.wbpro.jp/interview/yuji_kanoh.html

●世銀スタッフブログ

GTT 同期生! 
中山 幸穂

私は2年前にGTT(Global Transaction Team)というプログラムに応募して
入行しました。同じプログラムで一緒に入行した同期が6人います。先日、
IFCの屋上でワシントンモニュメントをバックに写真を撮りました。この日も
全員集まることは出来ませんでしたが簡単にここでご紹介します。
http://wbproblog.sblo.jp/article/30694184.html

To lend, or not to lend ?
松田 康彦

ガヴァナンスと開発の関係を突き詰めて考えていくといろいろとジレンマに
直面します。途上国で貧困を目の当たりにすると、当然援助の手を差し
伸べたくなるのですが、その国の政権が汚職にまみれているとか、
あるいは内戦が続いているなどの場合、世銀のような機関はどういった
態度をとるべきなのか、という問題です。
http://wbproblog.sblo.jp/article/30530362.html

(「世銀プロ」タスクチーム)
http://www.wbpro.jp

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編集後記     「NGOと雇用市場の柔軟性」
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はるか昔、留学していた頃、クラスメートと卒業後のキャリアの話をすると、普通に
NGOへの就職を候補として考えている学生が多くいることに非常に驚いた。「NGO=自
己犠牲」という当時の自分の認識では、高い学費を払って大学院まで出た学生がNGO
を自分の将来の職とするというのは、全く頭の中にない考え方だった。アメリカの
NGO等では、もちろんウォールストリートや弁護士とは比較にならないとしても、
ちゃんと生活を預けるに足る基盤もあると教えられ、感心した記憶がある。先日、DC
フォーラムでは、日米のNGOの資金調達から給与水準まで比較し、原因を探るブラウ
ンバッグを行ったので、是非、記録をご覧頂ければと思う。

実はここから少し話しはそれるのであるが、日本経済の弱さというのは、こういう雇
用の選択肢の狭さにもあるのではないかと、最近つらつらと思う。経済危機で輸出市
場が低迷する中、先進国の中では最もtoxic assetへのエクスポージャーが少なかっ
たはずの日本のパフォーマンスが一番悪い。先日のIMF経済見通しでは、2009年の最
悪ポジションはドイツに譲ったが、この程度で喜んでもいられない。

日本経済は、輸出に主導されながら過去4年ほどは2%台の成長率を維持してきた。し
かし、その間の内需の成長寄与は他先進諸国に比べて限定的だった。雇用リストラ
の影響が大きいのは明らかだが、リストラは日本に限った話ではない。アメリカでも
経済全体は好調な中、実は失業率は上昇した時期も多かった。それでもアメリカでは
消費は衰えなかった(さすがに今回の危機ではそうはいかないが)。金融機関の
無責任な融資姿勢やクレジットカード依存の国民性とか、悪口は色々と言えるものの、
やはり反省すべき点として日本の雇用市場の硬直性があるように思う。

アメリカでは、今、自分が職を失ったとしても、将来、経済が回復した際、少なくと
も同程度の給与の職にありつけるだろうという期待が、何とか共有されていると思
う。一方、日本においては企業(公的部門も)の極端な新卒偏重主義により、一度職
を失えば、仮に将来、経済状況が回復したとしても、それまでと同水準の雇用を得ら
れる可能性は極めて小さい。さらに、たまたま卒業した年が「就職氷河期」であれ
ば、その人が将来、そうでなければ得られたであろう給与水準の職を得られる可能性
も、同様に極めて低いだろう。このような中で、現実に職を失った人々、あるいは新
卒時に望む職が得られなかった人々は将来の期待所得が大きく下がるし、また現在、
職を得ている人々もリストラの可能性がある中、簡単に消費拡大はできない。日本の
消費低迷の背景には、このような点もあるのではないか。(個人的には何十年先の年
金不安以上に、こちらのほうが深刻な要因ではないかとすら思う。)

日本では「派遣切り」等が昨年から頻繁に批判され、市場志向改革の批判が言われる
が、しかし正社員しか認めなければ、雇用そのものが減少するだけである。低賃金を
武器とした途上国からの競争が激しくなる中、かつてのような終身雇用環境を維持す
ることは不可能である。それでも維持したければ、保護貿易に回帰して、今度は途上
国の労働者を切り捨てるしかない。しかしそれは維持不可能であろう。日本の労働市
場でも柔軟性、流動性を高め、一時的な失職はあっても、その後に貧困を固定化させ
ないようにする必要がある。短期的には既存労働市場にこのような柔軟性が期待でき
ない中、NGOという雇用形態をいかに活性化させていくか、このような観点からも考
えることができないだろうか。 (中田)

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編集担当:早川 元貴/江尻 由美
編集後記:中田 亮輔
発行:ワシントンDC開発フォーラム